マンションで雨漏り!修理責任は誰にある?保険は適用できる?
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気象庁によると、全国の1時間降水量は、2014年〜2023年の平均年間発生回数が1976年〜1985年の約1.5倍に増加しているのだとか。線状降水帯やゲリラ豪雨などの現象が増え、ある日突然、居住するマンションが雨漏りした!などということも…。こんな時どう対処したらいいのか、補償は受けられるのかなどについて、詳しく解説します。

マンションの雨漏りの原因と調査方法

大雨や台風といった自然災害による影響のほかに、経年劣化や施工不良によってもマンションの雨漏りは起こります。

雨漏りを放置すると、建物にひび割れが生じ、木材は腐敗し、鉄骨などの金属は錆びて、カビやシロアリの発生原因となり、漏電で火災が発生する可能性さえあります。

放っておけば、やがて地震などにより倒壊するリスクもありますから、早急に原因を調査して対応策を講じましょう。

最上階じゃないのに下の階で雨漏り!?

天井から雨漏りが起きると、マンション最上階ならともかく、中層階や低層階の場合、「なぜ?」と思う方が多いかもしれません。実は、ベランダや外壁のひび割れによる雨漏りも、毛細管現象により天井へと伝わって発生することがあるのです。

室内のこんな現象が気になったら、雨漏りする可能性が高いと言えます。

  • 天井に茶色いシミが広がっている
  • ・壁のクロスの端が剥がれている
  • ・壁紙に黒カビやシミができている
  • ・壁に耳を当てるとポタポタ、チョロチョロといった水の滴る音が聞こえる
  • 天井の照明器具に水が貯まっている
  • ・なんとなくカビ臭い

雨漏りの調査方法

雨漏りの原因がわからなければ、対処や対策はできません。雨漏りが起きたら、まずはその原因を調査する必要があります。

業者はまず目視で雨漏り箇所を調べ、さらに原因箇所を特定する方法として主に以下のような調査を行います。

散水調査 水をかけて雨漏りの状況を再現し、雨水の外部浸入口を特定
赤外線サーモグラフィー調査 外壁や屋根など、建物の温度変化を赤外線カメラで計測し、雨漏りの原因箇所を特定
蛍光塗料(紫外線照射)調査 蛍光塗料を含んだ液体を雨漏り箇所に流し込み、紫外線を当てることで原因箇所を特定
ファイバースコープ調査 超小型カメラ付きファイバー管を建物内部に挿入し、液晶ディスプレイの動画や静止画を見て原因箇所を特定
ガス調査 雨漏り箇所へ人体に無害なガスを注入・充満させ、外部に漏れるガスをセンサーで感知して原因箇所を特定
電気抵抗調査 雨漏りの入口と思われる箇所と出口である雨漏り箇所にケーブルを設置し、電気の通り道から原因箇所を特定

信頼できる業者の選び方

雨漏りの原因を特定するには、マンションへ来訪し調査してもらう必要があるので、信頼できる業者を選びたいものです。

また、雨漏りの調査を行う業者は、ほとんどが実際に修理・修繕を請け負う工事業者を兼ねています。

信頼できる雨漏り調査の業者選びは、以下がチェックポイントとなります。

  • 自社ホームページに建設業登録番号や認証番号、施工実績や事例などを掲載している
  • 雨漏りの状況を詳しく聞き、きちんと相談に乗ってくれる
  • 調査方法や修理方法を前もってわかりやすく説明し、質問にも丁寧に答えてくれる
  • 見積書、保証書、作業工程などは口頭ではなく書類で提出・発行する
  • 損害保険、リフォーム瑕疵保険などに加入している
  • 雨漏りの原因について徹底的に調査する

マンション雨漏りの責任範囲

では、雨漏りが起きた場合、その責任は誰が負うべきなのか、修繕工事の手配やその費用負担は誰がするべきなのか、疑問に思う方も多いかもしれません。

実は、雨漏りがあった場所や原因、マンション居室の契約形態によっても異なりますので、その違いについてご説明しましょう。

発生場所による違い

マンションには共用部分と専有部分があり、雨漏りが発生した場所によって責任の所在が異なります。

雨漏りの発生場所 責任の所在
共用部分
外壁、屋上、エントランス、廊下、エレベーター、階段、駐車場、駐輪場、バルコニー(ベランダ)、専用庭、専用駐車場、バルコニーや廊下に面した窓や網戸、各戸の玄関ドア外側など
管理組合
専有部分
居室の所有者が占有する内部空間とその設備
各戸の所有者もしくは居住者

なお、管理組合と区分所有者の責任範囲がわかりにくいのが、廊下などの共用部分から住戸内の床下にわたって存在する給排水管やガス管、電気配線などです。そのため、管理規約などに「責任分界点」が定められています。

例えば、各住戸のメーターは各企業の所有、共用部分からメーターまでの配管や配線は管理組合の責任、メーターから専有部分の配管や配線は所有者責任として扱われるのが一般的です。

原因による違い

建物の経年劣化による雨漏りは、管理組合の責任範疇(はんちゅう)です。

一方、専有部分の雨漏りは各戸の所有者または居住者の責任となりますが、戸内以外にも所有者または居住者の責任となるケースがあります。例えば、窓を閉め忘れたために室内に入り込んだ雨水が下の部屋にも被害を及ぼした場合、ベランダの掃除や窓の手入れを怠ったために雨漏りが生じた場合などです。

リフォーム中やリフォーム後の雨漏りは、工事の不手際が原因なら、当然、施工業者の責任となります。ただし、下の階にまで被害が及んでしまうと、後々、居住者同士が気まずくなる場合もあるので厄介です。

賃貸契約の場合

賃貸マンションや区分所有物件を賃貸にしている場合は、どうでしょう?原則的には、雨漏りした場合の責任と修理義務は大家さんであるオーナーや管理会社にあります。

ただし、入居者の過失や故意によるものは、賃借人に修理義務が及びます。例えば、子どもが遊んでいて窓ガラスを割ってしまい、雨が室内に侵入してきた場合や、雨漏りに気がついていたのにオーナーや管理会社に連絡せず、長い間放置していたために建物が傷んだ場合などです。

修理費用と損害賠償の基本知識

マンション雨漏りの調査費用や修理費用は、場所や程度によって幅広く異なります。

一般的には、調査費用の目安として以下が相場とされています。

目視調査 無料〜3万円
散水調査 5万円〜35万円
赤外線サーモグラフィー調査 2万円〜50万円
蛍光塗料(紫外線照射)調査 5万円〜25万円
ファイバースコープ調査 3万円〜10万円
ガス調査 15万円〜35万円
電気抵抗調査 3万円〜10万円

また、修理・修繕費用は雨漏りした場所によって異なり、以下が目安となる相場とされています。

屋根 1万円〜45万円
外壁 5万円〜50万円
天井 10万円〜15万円
バルコニー(ベランダ) 3万円〜25万円
窓サッシ・天窓 3万円〜25万円
屋上(陸屋根) 20万円〜100万円

ところで、分譲マンションで雨漏りを発見したら、まず誰に連絡・相談したら良いのか、戸惑う方も多いことでしょう。

そもそも管理組合の役割とは

管理組合は分譲マンションを維持・管理するための組織です。区分所有法により、管理組合は「区分所有者全員で構成されること」と明記されています。

マンションで雨漏りが発生した場合は、まず管理組合や管理会社に報告しましょう。共用部分の雨漏りはもちろんのこと、専有部分の雨漏りについても修理や工事を要する場合、また共用部分や他の住戸にも影響を及ぼしそうな場合も管理組合への連絡が必要です。

報告・連絡の際には、雨漏りの場所や程度、雨漏りに気づいた日時などをメモして伝えると、管理組合の理事や役員、管理会社の担当者もスムーズに対処やアドバイスが行えます。スマホで雨漏り箇所の写真や動画を撮影して伝えるのも良いでしょう。

損害賠償が発生するケース

マンション雨漏りの調査や修理・修繕には、多くの費用がかかります。だったら、「保険でなんとかできないのかな」と思いますよね。

マンションの主な保険には、以下のような種類のものがあります。

加入者 対象 保険の種類 概要
管理組合 共用部分 共用部分火災保険
(マンション総合保険)
共用部分が火災、落雷、破裂・爆発、風災、雹(ひょう)災、雪災、建物外部からの衝突などによる損害を受けた場合に補償
管理組合 共用部分 オプション例①
水災補償特約
台風、暴風雨、豪雨等などの水災による事故で発生した損害を補償
管理組合 共用部分 オプション例②
水濡れ損害補償特約
給排水設備で生じた事故などによる共用部分の水濡れ損害を補償
管理組合 共用部分 オプション例③
水濡れ原因調査費用補償特約
水濡れ事故の原因調査に必要な費用を補償
管理組合 共用部分 オプション例④
臨時費用補償特約
契約の内容次第で災害や事故などで受けた損害を補償
管理組合 共用部分 オプション例⑤
破損・汚損損害等補償特約
不測かつ突発的な事故による共用部分の破損・汚損等の損害を補償
管理組合 共用部分 オプション例⑥
失火見舞費用補償特約
火災、破裂・爆発により他人の所有物に損害が生じた場合の見舞金等の費用を補償
管理組合 共用部分 オプション例⑦
施設賠償責任補償
この建物に起因する偶然な事故により、他人にケガを負わせたり他人の財物を壊したりした結果、法律上の損害賠償責任を負担することによって被る損害を補償
管理組合 共用部分 オプション例⑧
個人賠償責任包括契約に関する特約
専有部分の使用・管理に起因する偶然な事故、区分所有者やその家族が偶然の事故で他人に怪我をさせたり、他人の物を壊すなど、法律上の賠償責任を負担する際に被った損害を補償
管理組合 共用部分 地震保険 地震・噴火、またはこれらによる津波を原因とする共用部分の損害を補償
区分所有者 専有部分 火災保険 専有部分での出火やマンション内の他の居室の出火により専有部分が類焼したり、消火による放水で受けた損害などを補償
区分所有者 専有部分 家財保険 火災保険とほぼ同じで火災保険に含まれる場合もあるが、所有する家具・家電、衣服などの家財の損害を補償
区分所有者 専有部分 地震保険 地震、噴火、またはこれらによる津波を原因とする専有部分の損害を補償
区分所有者 専有部分 個人賠償責任保険 日常のトラブルなどにより他人にケガをさせたり、他人の財物を壊したりして、法律上の損害賠償責任を負った場合の補償

保険やオプションの特約は、保険会社や保険によって補償する条件や対象が異なりますので、内容をよく確かめましょう。

火災保険の適用範囲

共用部分も、専有部分も、雨漏りの原因が「自然災害」であれば、火災保険でカバーできます。経年劣化による雨漏りや施工不良による雨漏り、被保険者の故意や過失による雨漏りは対象とならず、保険金は下りません。

一般的にはマンション雨漏りが火災保険の保証対象となるには、以下の3つの条件が必要です。

① 原因が風災であること

風災とは、台風や突風、竜巻、暴風などに伴う強風によって生じる災害のことを指します。

② 雨漏りが発生してから3年以内の申請であること

火災保険に限らず、基本的に保険金の請求期限は「保険の適用が必要な事故発生から3年以内」です。保険会社によっては独自の請求期限を設けている場合もありますので、雨漏りが発生したら、保険の申請はできる限り早めに行いましょう。

③ 20万円以上の修理費用を要すること

火災保険には、風災等を原因とする場合には、20万円以上の損害のみを補償対象とするものが多くあります。また、免責タイプと言って、あらかじめ設定した自己負担額を超えた場合に、超過分を受けとれるものもあります。

修繕工事と予防方法について

雨漏りが発生したら、被害が広がらないよう応急処置を施す必要があります。慌てて雨漏りしている箇所を塞ごうとしたり、板などを打ち付けようとするのはNG。かえって他の箇所に被害が起きる可能性がありますし、素人が屋根などの高所に登って調べようとするのも危険です。

専有部分の室内や共用部分ですぐにやるべき応急処置方法をご紹介しましょう。また、雨漏りは生じないに越したことはありません。日頃からやるべき予防方法についてもご紹介します。

雨漏り発生時の応急処置方法

雨漏りに気づいたら、雨漏り箇所の写真や動画を撮っておくことも、検査や修理の参考になるので大切です。保険の申請に役立つ場合もあります。

すぐに自分でできる、あるいは管理組合でできる、雨漏りの応急処置方法は以下の5つです。
① バケツなどで雨漏りの雨水を受け止める
② 窓・サッシからの雨漏りは雑巾で水を吸い取る
③ 天井裏に吸水シートを設置する
④ 屋根をブルーシートで覆う
⑤ 防水テープで雨水の侵入を防ぐ

①・②は昔から行われてきたオーソドックスな方法ですが、現代でももちろん有効です。③〜⑤は自分たちで行おうとせず、専門業者にすぐ連絡して即対応してくれる業者に依頼しましょう。

原因によって異なる修繕工事方法

応急処置が済んだら、早速複数の業者から雨漏り検査の見積りを取りましょう。雨漏りの修繕・修理方法は原因によって異なりますので、まずは入念に調査してくれる業者を選ぶことが大切です。

雨漏りを発見してから、修理工事を行うまでの流れは以下と心得ておきましょう。

ステップ①:自分でできる応急処置
ステップ②:修理業者による応急処置
ステップ③:業者への相談と検査方法の見積り
ステップ④:雨漏り箇所と原因特定のための現地調査と修理方針決定(修理工事の見積り)
ステップ⑤:雨漏り箇所と雨漏りで傷んだ箇所の修理、保険会社への連絡

定期的メンテナンスと防水工事の重要性

マンションの雨漏りは定期点検で防ぐことが可能です。外壁塗装や防水加工などは、10年前後で耐用年数の期限が到来すると言われています。

かつてはマンションの大規模修繕と言えば12年周期が一般的でしたが、2021年に国土交通省によるマンション大規模修繕のガイドラインが一部改正されました。これにより、20年、30年周期で大規模修繕を計画する管理組合も増えてきました。

しかしながら、マンションの雨漏りはひび割れやコーキングの劣化などによる原因がほとんどです。雨漏りを予防するなら10年に一度は検査をして、必要な箇所には防水のメンテナンス工事を行うことが推奨されます。

まとめ:マンション雨漏りの対処と対策

マンションの雨漏りは屋上屋根からとは限らず、ベランダや壁など、さまざまな箇所から生じる可能性があるので、まずは原因を特定するため、入念な現地調査を必要とします。原因や発生した箇所によって修繕・修理工事の方法は異なるからです。

雨漏りはしない、させないに越したことはありません。それには、定期的な検査と防水のメンテナンスが重要です。私たちRYU-SHINは、ビル・マンションの防水工事に多数の実績を積んでおり、多くのお客様からご信頼をいただいております。

防水工事はもちろん、綿密な雨漏り調査や修理工事にも専門家としてのノウハウと実績を最大限に活かしております。ご相談・お見積りは無料ですので、雨漏りに関するお問い合わせはお気軽にお寄せください。

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