マンションの大規模修繕中には、年間で200件程度もの空き巣被害が起きています。マンションの大規模修繕中には足場を設置することは必要不可欠ですが、そのことが原因で空き巣被害が起きてしまっていることが多い現状があります。
本コラムでは、マンションの空き巣被害をこれ以上増やさないためにできる防犯対策には何があるのかをご紹介します。
大規模修繕期間中に増加する空き巣被害の実態
2024年4月、埼玉県三郷市で大規模修繕工事をしていたマンションで空き巣事件がありました。大規模修繕工事のために組まれていた足場から部屋の中をうかがい、ゴールデンウィーク中で留守になっているのを確認した後、ベランダの窓ガラスを割って部屋へと忍び込み、現金およそ5000円の窃盗が行われたのです。
幸いなことにこの事件では大金は盗まれませんでしたが、マンションの大規模修繕工事が終わるまでは足場が組まれたままであることは必要不可欠です。そのため、日本全体で年間約200件近くにもなる同様の空き巣被害が起きています。 このような空き巣被害が起きる原因にはなにがあるのでしょうか。ここからは、その対策と併せて説明していきます。
マンション大規模修繕中に空き巣被害が起きる原因とは
マンション大規模修繕工事中に空き巣被害が起きる原因には、大規模修繕工事中に特有な3つ理由があります。その理由の詳細をそれぞれ説明していきます。
足場があり部屋に侵入しやすい
マンションで大規模修繕工事を行う際には、建物の周囲へ足場の設置が必要不可欠となっています。そのため、足場が設置されることは空き巣にとって最適な侵入経路となります。大規模修繕のために囲われた足場は、不審者でも伝わりながら歩きやすくなるのです。
その場合、高層階だったとしても侵入が容易になっています。そしてマンション高層階に住んでいる住民ほど、バルコニーやベランダから空き巣が侵入することを想定しておらず、どうしても防犯意識が低くなっています。そこで空き巣に狙われやすくなってしまうのです。
足場のシートが外から見えにくいため
大規模修繕中は足場に加え、足場の周囲を仮設シートで覆います。この工具の落下や騒音を防ぐ理由のために仮設シートを設置するほか、外壁工事前の高圧洗浄時に洗浄するときの水の飛び散りを防いだり外壁塗装時の塗料が飛び散ることを防いだりするために設置されていますので、不審者にとっては好都合な状況になります。仮設シートがあることによって、不審者が敷地内に忍び込む姿を外部から目撃されにくくなる効果があるからです。
万が一、不審者が足場の侵入に成功した後は、仮説シートがマンションの建物全体を覆っていますので何者かが歩いていても外部から目撃されにくくなります。とくに修繕工事終了後の夜間であれば、何者かが足場を歩いていても気づかれにくくなることになります。
工事関係者と不審者の見分けがつきにくいため
大規模修繕工事中には、マンション敷地内にさまざまな工事関係者が出入りします。そこで職人など普段は見覚えがない人物がマンションの敷地内にいたとしても、マンション住民としては違和感を憶えないはずです。このように住民には誰が工事関係者なのか分からないということで、不審者が建物内に侵入したとしても気づかれない状況が生まれます。
普段とは異なる人物がいても不審に思われないという状況が、侵入者にとっての大きなメリットになるのです。
「マンション入り口にはオートロックがあるから大丈夫」と考えていたとしても、工事中にはオートロックを解除して工事関係者が出入りする場合がありますので、工事関係者に紛れて不審者が忍び込む可能性もあります。
大規模修繕中の効果的な防犯対策とは
大規模修繕工事中の効果的な防犯対策には、「外からの侵入を防ぐ防犯対策」「工事業者と連携して行う防犯対策」「住民に呼びかける防犯対策」の3種類に分類されます。そこで、それぞれどのような防波対策を行えば良いのか、以下で詳細を説明していきます。
外からの侵入を防ぐ防犯対策
外部から不審者が進入することを防ぐためにまず考えることは、防犯カメラを設置することや足場に対して防犯対策を行うことです。基本的な防犯といえるこのような対策はどのように行えば良いのか、下記で説明していきます。
防犯カメラを設置する
100%防ぐことができるとはいえませんが、防犯カメラを足場内に設置することは不審者の侵入を抑止する効果があります。
防犯カメラを設置する場合は、外部から目がつきにくい足場内の出入り口付近や昇降階段付近やマンションの通用口に加え、マンション敷地内にある部外者立入禁止エリアなどが良いでしょう。このような場所に防犯カメラを設置することで防犯効果を期待することができます。
防犯カメラを設置するときには、以下についても注意する必要があります。
カメラの性能: 侵入者を特定できるよう、解像度が高く夜間でも撮影できるカメラを選択するようにします。
カメラの設置箇所: 侵入経路になりそうな場所や死角になりにくい場所に設置します。
録画方法: 録画内容を後から確認できるよう、一定期間は録画データを保存しておきます。
防犯カメラを設置することは防犯対策に役立つだけではありません。マンション住民の防犯意識の向上にもつながってきます。マンションの管理組合も、防犯カメラの設置を検討するようにしましょう。
足場の防犯対策を行う
足場の防犯対策として、足場入口に暗証番号錠付きの専用オートロック仮設扉を取り付けます。工事関係者だけに暗証番号をお知らせすることにより、工事関係者以外は足場内への出入りをできないようにします。
こうすることで、工事関係者やマンション住民以外の不審者が足場に入り込み建物内に侵入するリスクを大幅に減らせるようになります。
足場下部を金網やパネルでふさぐことも有効です。足場には作業箇所に出入りをするために人が一人通れる程のスペースが開いています。これではオートロック仮設扉があったとしても簡単に侵入できてしまうことになります。
そこで地上から高さ約2m程度の足場まで金網などで足場下部を塞ぐことにより、足場への侵入を防ぐことができます。
工事業者と連携して行う防犯対策
センサーライトの設置と、その人物が工事関係者とわかるものを着用することは、工事関係者に依頼する防犯対策となります。工事業者と連携して行う防犯対策はどのように行えば良いのか、下記で詳細を説明していきます。
センサーライトや防犯センサーを設置
足場の出入り口付近にセンサーライトを設置しておくことで、人が近づいたときには人感センサーが感知してライトを点灯します。そのため、侵入者を威嚇するといった抑止効果を発揮できます。
センサーライトは簡単に設置でき、夜間であれば何時であっても反応しますので、足場の出入り口付近だけでなく、道路からの死角になるエリアに設置するようにします。
出入り口に不審者が通ると大きな警報音が鳴る防犯センサーを設置しておき、警備会社に通報するといった24時間監視システムを導入することも有効です。
工事関係者と分かる物を着用してもらう
マンション住民には、誰が工事関係者なのか、不審者なのかは外見だけでは判別が付きません。そこで工事関係者とわかるよう、工事関係者には会社名が記載されているベストや作業着、ヘルメット、腕章などを必ず着用してもらうルールを規定しておくようにします。
セキュリティの観点から、工事関係者とそれ以外の不審者を遠くから見ても識別できるよう、ベストや作業着、腕章などを蛍光色や原色にしておく必要があります。
また、マンション住民側にも施工業者の見分け方を憶えてもらうために、大規模修繕工事前には、ベストや作業着、腕章などの画像を印刷した資料を配布して識別方法を周知しておくことも大切です。
住民に呼びかける防犯対策
住民に呼びかけて周知させる防犯対策として、施錠の徹底と窓に補助鍵や防犯フィルムを設置することが挙げられます。一軒家では当たり前と思われるこのような防犯対策はどのように行えば良いのか、それぞれの項目について詳細を説明します。
施錠を徹底する
大規模修繕工事が行われている間、見知らぬ人を見かけたとしても「工事の業者だから大丈夫だろう」と思い込んでしまいがちです。
また、高層階に住んでいる住民ほど、バルコニーやベランダから不審者が侵入することを普段は想定していません。しかし足場が組まれている大規模修繕中は侵入経路が増えるために、とくに高層階に住んでいる方は要注意です。
そこで外出時の玄関ドアはもちろんのこと、普段は鍵を閉めていないバルコニーに面した窓や小さな窓も含めて施錠を徹底しておくことが重要です。
窓に補助錠や防犯フィルムを設置する
足場の設置によって、普段出入りできないバルコニーなどへ不審者が容易に侵入できるようになりますので、窓のサッシに補助錠や防犯フィルムを取り付けることも防犯対策として有効です。
また、マンションの高層階に住んでいる場合には、外出時に窓を開けたままにしていることも多いと思いますが、足場が常にかかる大規模修繕工事の間は窓を開けたまま外出しないことが大切です。
そのほか、外出時には照明を付けたままにしておけば、不審者が部屋の住人が在宅していると判断して空き巣を止めることから防犯対策につながります。
住民の防犯意識を高める
大規模修繕工事中の防犯対策を施工会社だけに求めるだけでは対応が難しいところも出てきます。そこで、マンション住民に対して防犯への意識づけも必要になってきます。
大規模修繕期間中は外出時にはマンション入り口のオートロックを解除しているところも多いため、たとえ少しの間であっても玄関はもちろんのこと、室内のすべての窓を必ず施錠しておくことを意識づけるようにします。
また、防犯フィルムや防犯アラーム、サッシ補助ロックといった防犯グッズを購入して設置するといった防犯対策を行うのも良いでしょう。
また、工事の作業員と挨拶を交わし顔なじみになるなど、マンション居住者自身にも積極的にマンションの安全に寄与していくことも大事です。その日にどんな作業が行われるのか明示しておくことで、予定外の作業員がいないかどうかが分かりやすくなります。
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まとめ:大規模修繕中に注意したい防犯のポイント
大規模修繕工事中の効果的な防犯対策には、「外からの侵入を防ぐ防犯対策」「工事業者と連携して行う防犯対策」「住民に呼びかける防犯対策」の3種類に分類されます。それぞれの防波対策には、簡単にできることも多く、費用もあまりかかりませんので、防犯のポイントを押さえながら対応しておくようにしましょう。
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