マンションの管理組合やビルオーナーの方々にとって、建物の耐久性を高めることは資産価値を高めることに等しく重要です。建物の耐久性維持の最重要ポイントと言えば防水工事。
特に屋根や屋上部分の防水を怠ると、建物全体の腐食を促すことにもなりかねません。そこで今回は、鉄筋コンクリート造の建物の屋上防水工事について詳しく解説いたします。
マンション屋上防水工事の種類と費用・耐用年数
ビルやマンションの屋根部分は、「陸屋根(ろくやね、りくやね)」と呼ばれる平らな屋上となっていることがほとんどでしょう。そのため、雨水が溜まりやすく、定期的な防水メンテナンスが必要です。この章では、ビルやマンション屋上の防水工事の種類ごとの費用相場や耐用期間などについてご説明します。
ウレタン防水(ウレタン塗膜防水)
水を通さない性質を持つウレタン樹脂を用い、防水を行う方法です。ウレタン樹脂は液状の防水材のため、複雑な形状の屋上にも対応でき、継ぎ目がなくなめらかで、見た目にも美しい防水層を形成できます。また、他の工法に比べて費用が抑えられるのも利点です。
▼ウレタン防水の特徴と概要
工法 | 1㎡あたりの単価の目安 | 耐用年数の目安 | |
---|---|---|---|
密着工法 | 下地塗料もしくは専用シートの上に直接ウレタン防水材を塗布 | 3,500円〜12,000円程度 | 10年〜12年程度 |
通気緩衝工法 | 通気緩衝シートを貼って脱気筒を取り付けた後にウレタン防水材を塗布 |
シート防水
ゴム材や塩化ビニール材の防水シートを下地として敷き、防水層を作る工法です。ゴムシートのほうが安価なのですが、飛来物があると裂けやすいという欠点があり、最近ではより耐久性のある塩化ビニールシートを用いるのが一般的になっています。一度に広範囲の施工が可能で、工期が短いのが利点です。
▼シート防水の特徴と概要
工法 | 1㎡あたりの単価の目安 | 耐用年数の目安 | |
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機械的固定工法(絶縁工法) | コンクリート用電動ドリルでディスクを下地に固定し、シートと下地に隙間を作ることで水分を逃がす | 4,000円〜15,000円程度 | 10年〜13年程度 |
アスファルト防水(アスファルトルーフィング)
液状の溶解アスファルトやアスファルトシートを貼り重ねることで、防水層を作る工法です。古くからマンションやビルの屋上に多用されてきました。耐久性の高い防水層となり、耐荷重性と密閉性に優れています。工期は比較的長いですが、実績の多い工法ですので信頼性が高いのが利点です。
▼アスファルト防水の特徴と概要
工法 | 1㎡あたりの単価の目安 | 耐用年数の目安 | |
---|---|---|---|
熱工法 | 融解アスファルトとシートで防水層を作り、さらにコンクリートとモルタルで表面を覆う耐久性の高い工法 | 4,500円〜22,000円程度 | 15年〜20年程度 |
常温工法 (冷工法) |
常温のアスファルト材と改質アスファルトを加工したシートで防水層を作る工法 | ||
トーチ工法 | 改質アスファルト加工のシートをトーチバーナーで溶解し水密性の高い防水層を作る工法 |
FRP防水
FRPとはFiber Reinforced Plasticsの略で、繊維強化プラスチックのことです。ベランダやバルコニーの防水としての用途が多く、浴槽、プール、貯水槽、船の防水塗装にも用いられます。シート状のFRPを貼り付け、ポリエステル樹脂を塗り重ねる工法です。軽量かつ強靭、そして継ぎ目のないシームレスな防水層になることから、高い防水性能を発揮します。
▼FRP防水の特徴と概要
工法 | 1㎡あたりの単価の目安 | 耐用年数の目安 |
---|---|---|
ポリエステル樹脂を塗装した後に硬化させ、紫外線から保護するためのトップコートをさらに塗布 | 5,000円〜10,000円程度 | 10年程度 |
マンション大規模修繕工事の一環として行う屋上防水
マンションの大規模修繕工事は12年〜15年周期で行う管理組合が多く、防水工事の耐用年数も10年〜20年の範囲ですから、大規模修繕の際に行うのが効率的です。そこで、この章では、マンション大規模修繕の際に屋根の防水工事を行う重要性や工事費用についてご説明します。
屋上防水工事の必要性
経年劣化や自然環境などによる傷み・不具合を修繕し、現代の住環境に適した機能や性能を向上させる工事、それがマンションの大規模修繕です。工事の範囲はマンション全体となり、具体的には、屋根や外壁、給排水管、エレベーターや階段、エントランス、駐車場や駐輪場、ベランダやバルコニーなどの共用部分となります。
中でも、屋上防水は大規模修繕に欠かせない重要な工事の一つとされます。建物の最上部に位置する屋上は、雨や紫外線にさらされるため、劣化が進みやすい部分で、屋上防水が劣化すると雨漏りや雨水が建物内部に侵入する原因となるからです。
大規模修繕費用に占める屋上防水工事の割合
国土交通省「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」によると、大規模修繕工事費用の大部分を占めるのが建築系工事にかかる費用です。さらに屋上防水は建築系工事費用の13.4%を占め、外壁塗装、床防水に次ぐ第3位となっています。

出典元:国土交通省「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」
防水工事に利用できる助成金・補助金
大規模修繕の費用の中でも比較的多くを占める屋根防水の工事費用。しかし、屋根防水工事を省略すると、雨漏りや雨水などの侵入により建物全体の劣化を促進しかねません。大規模修繕の資金不足に悩んだら、各自治体による補助金や助成金の利用を検討されることをおすすめします。例えば、以下のような制度があります。
分譲マンション計画修繕調査支援制度
分譲マンションの計画的な修繕を促進するための助成金制度で、都内では中央区、墨田区、台東区、渋谷区、港区などが行っています。また、神奈川県では横浜市が「長期修繕計画がない、長年更新していないマンション」に対して、補助金による助成を行っています。埼玉県や千葉県市川市などにも同様の制度があります。
マンション改良工事助成制度
分譲マンションの適正な維持管理の促進を目的 として、東京都が行っている分譲マンションの修繕への助成制度です。建物の共用部分の外壁塗装や屋上防水、バリアフリー化など、計画的に改良・修繕する管理組合に対し、住宅金融支援機構と連携し、助成(利子補給)を実施しています。
長期優良住宅化リフォーム推進事業
国土交通省が長期優良住宅化リフォームを支援するために行う補助金制度です。「工事後に耐震性と劣化対策、省エネルギー性が確保されていること」が条件ですので、遮熱塗料や断熱塗料を用いた屋根防水を行い、省エネルギー性能を高めれば利用できる可能性があります。
マンション屋上防水工事の業者選び
ひび割れ、防水シートのめくれ、水たまり、屋上パラペット・笠木などの劣化、排水溝周りや伸縮目地の隙間に泥水が溜まっていたり雑草が芽吹いていたり…屋上でこんな現象を目にしたら、それは防水劣化のサインです。マンション管理組合、または管理会社へすぐに連絡しましょう。
手遅れになる前に専門業者に点検してもらう必要があります。では、信頼できる業者を選ぶには、どうしたら良いでしょう?業者選びのポイントをお伝えします。
保証期間などのチェックポイントと見積の取り方
屋上防水には塗膜防水以外にも防水工事の方法がありますので、塗装業者ではなく、防水工事にノウハウと実績のある専門業者を選ぶことをおすすめします。信頼できる業者かどうか判断するには、以下のような点が主なチェックポイントとなります。
- 国土交通大臣による建設業許可等を取得しているか(国土交通省「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で社名をカタカナ表記して確認可能)
- 自社ホームページなどに実績や施工事例は掲載されているか
- 見積書や工程表を書面で提出してくれるか
- 質問に対してわかりやすく丁寧に説明してくれるか
- 原因調査を丹念に行ってくれるか
- 保険加入や保証制度はあるか
なお、株式会社RYU-SHINは国土交通大臣による建設業許可(特-1)第27746号を取得しており、お見積り後、管理組合様で決議が得られましたら入居者様に対して工事説明会を開催し、住民の皆様にご理解を得られるよう丁寧な説明を行っております。当社の施工事例や施工実績、保証・アフターメンテナンスについても、ぜひご参照ください。
臭わないか?うるさくないか?
工法にもよりますが、防水工事は臭いや騒音を発する場合があります。例えば、ウレタン防水やFRP防水などは、シンナー系の溶剤を使用するため、施工中に強い臭気を発することがあります。
また、いずれの防水工事も高圧洗浄や下地調整のための作業は大きな音を発しますし、特に機械で固定を行うシート防水、アスファルト防水の熱工法やトーチ工法はかなり気になる騒音があります。
乳幼児やペットのいるご家庭は健康被害が気になるでしょうし、近隣とのトラブルを防ぐためにも、前もって住民やご近所に対して臭気や騒音について説明してくれる業者を選びましょう。臭いや騒音を発する日と時間帯を事前に周知してくれれば窓を閉めるなどの対策ができますし、工事中の相談窓口を用意してくれる業者なら、なお信頼できます。
アフターメンテナンスの重要性
防水工事をその後も長持ちさせるには、定期的な点検とメンテナンスが重要です。工事を終了したらそれで終わりではなく、例えば1ヶ月後に無料点検を行ってくれる、アフターメンテナンスも手厚い業者を選びましょう。保証期間を設けている業者なら、1年後、3年後、5年後などに無料点検を行ってくれ、万が一、不具合が見つかれば無償で修繕してくれるはずです。
まとめ:マンション屋上防水工事は種類ごとに費用も工程も異なる
マンション屋上防水工事の方法には、ウレタン防水、シート防水、アスファルト防水、FRP防水といった種類があり、それぞれ費用や耐用年数が異なります。ビルやマンションに最適な工事方法を選ぶには、入念な調査を行い、質問や要望にも丁寧に応答してくれ、信頼できる明確な見積書を提出してくれる業者を選ぶことが大切です。
また、防水工事には臭気や騒音が伴う場合もあるので、住民や近隣への配慮や説明が十分な業者であれば、後々のトラブルや事故を防ぐことができるでしょう。防水工事は工法にもよりますが、一般的な耐用年数は10年〜20年が目安とされていますので、保証期間中のアフターメンテナンスがしっかりした業者を選ぶこともポイントとなります。
株式会社RYU-SHINは、ビル・マンションの防水工事に関してこれまで数多くの実績を積んでおり、「1つの提案で建物の価値が変わる」をモットーに万全なアフターサポートをお約束しております。ご相談・お見積りは無料ですので、屋上防水のことが気になったらお気軽にお問い合わせください。
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