大規模修繕の基本のキ!周期、工事計画、費用、業者選び等についてのお役立ち知識

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マンションにも、戸建て住宅にも、大規模修繕は必要です。そのうち、戸建てに比べてマンションは建物の規模が大きいために大規模修繕の範囲が広く、必要になる作業員数も多くなります。そのため、工事や費用に対して綿密な計画が必要になります。

そこで本記事では、大規模修繕工事の基礎知識をお伝えしていきます。

大規模修繕工事の基礎知識

マンションの修繕業務には、給水ポンプなどの不具合対応をはじめ、照明器具や割れたガラスの交換などといった日常の中で行われる日常修繕があります。そのほか、事前に計画を立てて行う大規模修繕や鉄部塗装工事といった計画修繕もあります。

ここからは、計画修繕に含まれる大規模修繕工事の詳細を解説します。

今さら聞けない大規模修繕とは?目的と必要性

新築されたマンションが経年劣化してきた建物や設備を修繕することを大規模修繕と呼んでいます。そこでは、日常的に実施しない建物全体の修繕や共用部分の不具合を解消する改修を行います

戸建て住宅でも建物の劣化や老朽化を防ぐために定期的に修繕を行う必要はあります。ただ戸建て住宅には共用部分はありませんので、経年劣化や不具合を解消するために解消するために共有部分に対して行うマンションの修繕は大規模なものとなります。

「修繕」「改修」「補修」の違い

改修工事のうち、「修繕」と似たような意味を持つ「改修」「補修」という言葉には、それぞれ以下のような内容の違いがあります。

「修繕」とは
建物の劣化や損傷を修理して、新築当時の水準にまで戻す工事
をするのこと

「改修」とは
「修繕」工事に加え、設備の機能性や性能を向上させる工事をすること

「補修」とは
劣化や損傷した建物への応急処置によって、問題やトラブルを解決する工事をすること

国土交通省による大規模修繕のガイドライン

国土交通省では、2008年(2021年に改訂)にマンションの修繕や費用の積み立てに関する指針となるガイドラインを作成し公表しています。

このガイドラインを役立てることにより、マンションの状態や法律、データなどを踏まえた長期修繕計画の作成や修繕積立金の額の設定ができるようになります。

なお国土交通省のWebサイトからは、「長期修繕計画標準様式、長期修繕計画作成ガイドライン」「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」などをダウンロードできますので、マンションを大規模修繕する際には役立てましょう。

大規模修繕工事の周期と適切なタイミングは?

国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」によると、マンションの大規模修繕工事は12年~15年周期に実施する必要があるとされています。ただし、海沿いなど塩害が発生しやすい立地にあるマンションの場合はそれよりも早く劣化が進む可能性はありますし、湿気が多い環境にあるマンションでも劣化が早くなる可能性があります。

そこで、マンションの環境要因を考慮した修繕計画を立て、建物の状態によっては12年~15年周期にこだわらず柔軟な工事時期の調整も必要です。

大規模修繕の計画と準備

マンション大規模修繕工事は一般的に、まず管理会社から大規模修繕工事実施の提案を受け、修繕工事の準備を進めるための「修繕委員会」を立ち上げます。そして、工事範囲や工法選定のためにマンションの現状把握と劣化診断を行いますその結果をもとに予算と工事計画を検討し施工業者を選定していきます。

工事の概要が決まった時点で、マンション住民を集め総会を開催して決議を取ります。総会で決議が取れたら施工会社へと修繕工事を発注します。そこで改めてマンション住民に向けた工事説明会を開きます。

総会の決議を経た後は、施工会社への工事請負契約と工事監理契約を行い、修繕工事が着工されます。その後は修繕工事の完了を確認し、引き渡しを受けたら修繕工事の完了となります。

管理組合が主導する修繕計画のポイント

マンションの長期的な修繕計画である「長期修繕計画書」は、マンションの老朽化を防ぎ、性能を維持する目的で作成されるものです。この「長期修繕計画」を作成してからも、設備の老朽化の進み具合を見て、適宜、内容を更新していきます。

作成時期は、建物完成時に、あるいは少なくとも建物完成後3年以内に、マンションの管理組合が主導して作成するのが望ましいとされています。

この「長期修繕計画書」は、大規模修繕工事の内容が書かれている建築工事の計画や給排水設備やエレベーターの更新内容が書かれている設備工事の計画に加え、大規模修繕工事に必要となる金額や現在までに積み立てられている修繕金額といった資金計画で構成されています。

修繕積立金の目安と費用計画の作成

国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」によると、マンションの修繕積立金の目安は、専有床面積1平方メートルあたり、おおよそ200円とされています。例えば、100平方メートルを持つマンションであれば100平方メートル×200円ですので、20,000円が適正額となります。もちろん、マンションの規模や階数、築年数、建物の構造、エリアなどによっても異なってきます。

なお、築30年を超えたマンションは、2回目または3回目の大規模修繕を迎える時期を迎えることになります。その場合、30年あるいは30年以上前の時点での想定で立てた「長期修繕計画」では、当時の資材や人件費などからコストが大幅に上昇しており、修繕積立金不足に陥っている可能性もあります。

そうならないよう、築30年を超えたマンションであれば「長期修繕計画書」の見直しは必須といえます。

事前調査と診断による現状把握の重要性

マンションで大規模修繕工事を行う前には、「建物のどこがどのくらい劣化しているのか」といった劣化の状態を把握する事前調査を行い、工事の内容を具体的に決めるようにします。

この事前調査を実施することにより、建物の経年劣化を早期発見しながら計画的な修繕計画を立てられるようになりますので、工事範囲を絞り込んだり工事の優先順位を付けたりできるようになります。その結果、無駄を省いた効率的な修繕工事を行うことができ、その結果、余計なコストを省けるようになります。

大規模修繕工事の基本ステップと方法

大規模修繕工事は、マンションの規模にもよりますが、計画を立ててから工事が完了するまで、トータルで2~3年程度が必要となる大規模なプロジェクトとなります。

50戸以下の小規模マンションであれば、3~4ヵ月程度で大規模修繕工事は済みますが、計画から工事着工までだけで1~2年、着工後も3ヵ月~半年の期間が必要な場合もあります。大規模なマンションであれば、工事期間だけで1年を超えてくることもあります。

大規模修繕工事の期間についての詳細は以下のページもご覧ください。
マンション大規模修繕にかかる期間、流れについて解説

基本的な工事工程と9つの主な工事項目

修繕工事の施工は足場を設置することから始まります。最後にその足場を解体して清掃し、検査をして問題なければ工事完了です。修繕工事の対象となるのは、建物本体や階段、エレベーター、共用廊下、バルコニー、玄関扉、サッシなどの共用部分です。建物本体だけではなく、敷地内に設置されている設備も含めたマンション全体となります。

ここからは、9つの主な工事内容について具体的にご説明していきます。

仮設工事

仮設工事とは、メインとなる修繕工事に必要なものを、準備するために行われる工事のことです。修繕工事を行う上で必要となる足場仮設工事、ゴンドラ仮設工事のほか、作業員のトイレや資材置き場などの共通仮設工事なども含まれます。

RYU-SHINの仮設工事については以下のページもご覧ください。
仮設工事

下地補修工事

マンションの外壁を塗装する前にコンクリートやモルタルの亀裂や傷などを補修することを下地補修工事と呼んでいます。タイルや塗装の浮きを調査する打診調査や目視などで補修が必要な箇所をチェックし、マーキングを行います。

下地を整えてから塗装することで、仕上がりが美しくなり、塗膜も長持ちするようになります。

塗装工事

塗装面の艶がなくなることや変色・色褪せ、チョーキング、ひび割れ、剥がれなどが生じてきたマンションの外壁や鉄部などに塗装工事を行います。塗装工事を行う場所は建物の壁面や天井面のほか、外部鉄骨階段や玄関ドア、メーターボックス、共用廊下などの手摺、消火栓ボックスなどの鉄部となりますが、塗装することで建物を保護し長持ちさせ、マンションの美観を向上させます。

塗装工事の詳細は以下のページもご覧ください。
マンションの外壁塗装工事がまるわかり!費用相場・塗り替え周期・工程などを解説

シーリング工事

外壁ボードのつなぎ目やサッシと外壁のすき間などをシーリング剤で埋める工事のことをシーリング工事と呼んでいます。すき間などを埋めることにより雨水の侵入を防げるようになり、建物の劣化を防いでくれます。

シーリング工事には、打ち替え工事と打ち増し工事という2種類があります。打ち替え工事は、劣化したシーリング材を取り除いて新しいシーリング材を充填しますので、新築同様のシーリング効果があります。

古いシーリング材を残し上から新しいシーリング材を注入することで、劣化部分をカバーする仕方が打ち増し工事です。工事費用を抑えることができますが打ち替え工事に比べると長持ちしないため、既存のシーリングを撤去できないサッシまわりなどに応急処置をしたいときには有効となります。

RYU-SHINのシーリング工事の詳細については以下のページもご覧ください。
シーリング工事

防水工事

マンションの屋上やベランダは常に雨や雪、風、太陽などからの紫外線や熱などに晒されています。これらの自然の脅威から建物を守るのが防水工事です。

マンションの防水工事には、アスファルト製の防水シートを敷くアスファルト防水、塩化ビニルやゴム製の防水シートを施工するシート防水、防水性が高い塗料を塗装する塗膜防水などがありますが、いずれの方法でも快適な居住空間を維持し、建物の寿命を延ばすことができます。

RYU-SHINの防水工事の詳細については以下のページもご覧ください。
防水工事

建具・金物工事

工作物に木製または金属製の建具を取付ける専門工事と、自動ドアや宅配ロッカー、物干し金物、鉄骨の階段、廊下や階段などの手すりなどの金属の専門工事を総称して建具・金物工事と呼んでいます。

なお、マンションの2回目大規模修繕では、1回目の大規模修繕に比べ、建具・金物工事が対象となる割合が高くなります。

設備工事

給・排水設備や電気設備、ガス設備、テレビ共同受信設備、電話・インターネット設備、排気設備、消火・防災設備などを改修することを設備工事と呼んでいます。この設備工事は、マンション住民が日常生活を送るうえで非常に重要な工程だといえます。

RYU-SHINの設備工事の詳細については以下のページもご覧ください。
設備工事

昇降機リニューアル工事

マンションのエレベーターを刷新することを昇降機リニューアル工事と呼んでいます。このエレベーターのリニューアル工事には、全撤去新設リニューアル、準撤去リニューアル、制御部品リニューアルという3つの方法があり、エレベーターの劣化状況により方法を選んでいきます

なお、この昇降機リニューアル工事は、マンションの大規模修繕工事の中で最も費用のかかる工事です。ただエレベーターには耐用年数があり、定期的に保守点検を行っていれば25年~30年程度は使用できるようになります。

外構・附属施設工事

マンションの敷地内にある施設で、集会所や外灯、フェンスなどの施設を含む、駐車場の舗装、エクステリア、植栽など、建物本体以外の外まわりの工事のことを外構・附属施設工事と呼んでいます。

RYU-SHINの外構工事の詳細については以下のページもご覧ください。
外構工事

一般的な施工方式の違いと選び方

マンション大規模修繕工事の施工方式には、主に、責任施工方式、設計監理方式、管理会社委託方式の3つがあります。

責任施工方式は、工事会社あるいは管理会社に、修繕工事の仕様作成や工事、チェックまでお任せして発注する方式です。

設計監理方式は、設計・工事監理と施工を分離して発注し、管理会社あるいは設計事務所などのコンサルティング会社が設計・工事監理を行い、施工会社は施工のみを請け負う方式です。

管理会社委託方式は、マンションの管理会社が施工業者を選定し、大規模修繕工事の進捗を管理する方式です。

いずれにせよ、どの方式にもメリットとデメリットが存在しますので、よく検討をしてから発注をするようにしましょう。

施工方式 主な特徴
責任施工方式 施工業者が建物診断から修繕設計、資金計画、工事施工、完了後の引き渡しまでを一括担当
設計監理方式 設計事務所などの大規模修繕コンサルタントが設計・監理を担当し、工事業者が施工を担当
管理会社委託方式 マンションの管理会社が施工業者を選定し、大規模修繕工事の進捗を管理

大規模修繕工事に関連するトラブルを防ぐ方法

マンションでは、以下のような大規模修繕工事に関連するトラブルが発生しがちです。

  • ・騒音、振動、臭い、ホコリなどの発生
  • ・足場や養生ネットによる日当たりや洗濯物への影響
  • ・工事遅延
  • ・施工不良(雨漏りやタイルの剥がれなど)
  • ・修繕費用の不足
  • ・空き巣被害
  • ・店舗の営業妨害
  • ・施工会社の倒産
  • ・車輌トラブル
  • ・工事費用の追加請求
    このようなトラブルを未然に防ぐためには以下のような対策が大事です。
  • ・近隣住民に対して事前に挨拶・お知らせを実施
  • ・マンション居住者に対して事前告知を徹底
  • ・長期修繕計画の定期的な見直し

なお、トラブル対策や事前準備に関して実績や経験が多く、瑕疵保険に加入しているような信頼できる施工業者に依頼することをおすすめします。

大規模修繕に必要な確認申請

マンションの大規模修繕工事の際、基本的に確認申請の提出は不要ですが、以下のようなケースの場合は建築基準法に基づき確認申請の提出が必要となります。

  • ・主要構造部(壁、柱、床、はり、屋根、階段など)の半分以上を修繕・リフォームする場合
  • ・エレベーターや立体駐車場などを新設・増設する場合
  • ・耐震性能の向上を目的とした工事用途を変更する工事の場合

大規模修繕に伴う確認申請の詳細については以下のページもご覧ください。
大規模修繕で確認申請が必要なのはどんなとき?申請までの流れも解説!

管理組合と住人間での合意形成の重要性

マンションの大規模修繕を行うには、マンションの部屋を所有している区分所有者の同意を得る必要があります。

その区分所有者が参加するマンション管理組合の総会での決議方法には「普通決議」と「特別決議」があります。一般的な議案の普通決議の場合、区分所有者の1/2以上の賛成が必要となります。ただ、重要な変更が必要な特別決議の場合では「区分所有者総数の4分の3以上」と「議決権総数の4分の3以上」の賛成が必要になるなど、承認条件が厳しくなっています。

工事中の安全確保と居住者・近隣への周知

大規模修繕工事には、高所作業や重機の使用など危険を伴う作業が多くあります。そこで、作業員と居住者双方の安全を確保することが最優先事項となります。

また大規模修繕工事を始める前には、工事説明会を開催したりチラシを作成したりするなど、居住者だけでなく、近隣住民に対する周知やコミュニケーションも大切です。

優良な施工業者を選定するための基準

大規模修繕工事を行う施工業者を選定する際には、以下のポイントを持つ施工業者を選ぶようにしましょう。

  • ・建設業許可を取得している
  • ・大規模修繕工事の実績・事例が豊富にある
  • ・保証内容が充実している
  • ・見積書には、項目別に単価や明細が記載してある
  • ・工事に対する明確な取り組み方針と丁寧な説明がある
  • ・現場監督の対応力や真摯な姿勢がある

なお施工業者を選ぶ際、1つの業者に絞るのではなく複数の業者に対して相見積もりを取ることによって、工事費用の相場がわかるようになります。

まとめ:初めてのマンション大規模修繕工事の基礎知識

マンションは建物の規模が大きいために大規模修繕の範囲が広く、必要になる作業員数も多くなります。そのため、工事や費用に対して綿密な計画が必要となりますが、本記事を読むことで、大規模修繕工事の基礎知識が理解できると思います。

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